週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.26

    第26回 【「移行期的混乱」、いまの社会をどう考えるのか?】

編集部: さて今週の気になるですが?

横尾 : 年末年始、どこにも出かけず、家でのんびり寝正月の方にオススメの本を、
      ご紹介しましょう。

編集部: 横尾さんも寝正月ですか?
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横尾 : はい当然(笑)、ボクは元日から生放送の仕事があるので、
      2日から3日間くらいの休みですね。そこで読書やDVDなど
      見て過ごしますが、今回オススメ本は、
      平川克美さんの『移行期的混乱』(筑摩書房)です。
      サブタイトルが「経済成長神話の終わり」となっています。

編集部: 内容はどのようなものでしょうか?

横尾 : 現代日本社会を「大きな時代の転換期」、と捉える視点がとてもおもしろいですね。
      転換期、過渡期というのは、学者、評論家など誰でも言うんです(笑)。
      ボクが若いころから世界、社会が過渡期である、と言っている人がいましたから(笑)。
      でも平川さんの捉え方は有史以来、何千年という単位での転換期と位置づけている
      ことです。

編集部: それはスケールの大きな話ですね。

横尾 : いま起きている環境破壊、格差拡大、人口減少、長期的デフレーション、
      言葉遣いや価値観の変化などは、移行期的な混乱のそれぞれの局面であり、
      混乱の原因ではなく結果だというんですね。

編集部: では本質的な問題は?

横尾 : 人口減少、だと指摘するんですね。戦争などによる一時的な人口減少があっても、
      有史以来増え続けた人口が減少期に入った、そして社会が成熟化していくなかで、
      今後の経済成長はあり得ない。経済成長しなくてもやっていける社会を考えるべきだ、
      というんですね。これには目が覚めるような思いでした。

編集部: 今後、政府が経済成長戦略などを提起しても、日本のように人口減少社会では
      高度経済成長は本質的にあり得ない、と言うのですね?


横尾 : そういうことです。一時的な伸びはあったとしても、本質的には大きな移行期、
      という指摘です。いま内田樹や平川克美のようにわかりやすい言葉でこの世界の
      輪郭を描いて問題を提起し、解決方向を探る思想家があまりにも少ないですね。
      難しい言葉でいろいろ語る人はいますが(笑)。
      新しい年2011年を前に、移行期的混乱という本質的な視点で、
      さまざま起こる社会事象を捉えて、生き方を誤らないようにしましょう(笑)。
      著者は大きな解決の方向性を提示していますが、
      それぞれの個人が将来像を考えてみてはいかがでしょうか。
      正月の読書にふさわしく、ゆったりとした気持ちで。

※平川克美:1950年東京生まれ。1975年、早稲田大学理工学部卒。1977年、友人と渋谷道玄坂に株式会社アーバン・トランスレーション(現在D2E2株式会社)を設立。1999年、アメリカにビジネスサポート、インキュベーションを主業務とするBusiness Cafe'e,Inc.を設立。2000年、ビジネスカフェジャパンを設立、同社社長。2001年、リナックスカフェを設立し、現在、同社社長。2007年、ラジオカフェの創業に携わり、同社取締役プロデューサー。執筆は、地域開発2003年3月号「リナックスカフェとベンチャー都市秋葉原の可能性」、技術評論社新雑誌「オープンソースは時代を変革するか」、ビジネスカフェ論文集エスプレッソ 「リナックスパラドクス」「組織のエートス」など

※内田樹:1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。神戸女学院大学文学部教授。フランス現代思想、映画論、武道論。神戸女学院大学では合気道部顧問をつとめる。著書は、『ためらいの倫理学』(冬弓舎)、『レヴィナスと愛の現象学』、『おじさん的思考』『期間限定の思考』(晶文社)、『私の身体は頭がいい』(新曜社)など
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  # by weekly-yokoo | 2010-12-22 10:56 | 今週の気になる?

編集後記 Vol.26

今週はクリスマスですね。クリスマスにちなんだ映画もたくさんありますね。
僕のお勧めのクリスマス映画は「3人のゴースト」。1988年、ビル・マーレイ主演のアメリカの映画です。クリスマス・キャロルをモチーフに、現代のテレビマンを主人公にしています。視聴率のためなら、どんな非道な人事や低俗な演出もするテレビ局プロデューサーの前に、過去と、現在と未来のゴーストがあらわれて、改心させるという話です。アメリカらしい夢があるのは、このプロデューサーはもともと子供番組の着ぐるみスタッフだったのが、実力を認められてプロデューサーにまでなったというところで、日本じゃ考えられない話。逆にそれがダメなの?というのが、主人公がゴーストに見せられる悲惨な未来は、自分が火葬にされるという事。向こうじゃ土葬が一般的ですからね。火葬は、地獄に落ちた罪人が受ける罰のようなイメージがあるようです。そんな、日米の文化の違いはあっても、ビジネスライクになりすぎているメディアの現状は日米共通なのが皮肉な感じもします。まぁ、コメディ要素もたっぷりで、最後はハッピーエンドで、暖かい気持ちになれる映画なので、興味のある方は是非レンタルDVDショップへ。
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  # by weekly-yokoo | 2010-12-22 10:29 | 編集後記

第25回  【菅政権は政策を断捨離せよ!】

         第25回  【菅政権は政策を断捨離せよ!】

編集部: 年末ですが、民主党の中で反小沢と親小沢の対立が激化しているようですが?

横尾 : 臨時国会が12月3日で閉幕し、年明けの通常国会は1月20日過ぎですから、
      その合間に、政権の中枢、仙谷官房長官や岡田民主党幹事長、
      もちろん菅首相も含めて反小沢陣営が一気に、小沢元代表をツブしにかかりました。

編集部: 小沢さんの国会での政治資金の説明問題ですね?

横尾 : 国会の政治倫理審査会(政倫審)で小沢さんが出席して
      説明してほしい、と岡田幹事長が言っています。
      小沢さんが国会に出ないなら民主党の幹部会議で「小沢出席」を決め、
      小沢さんが従わないなら民主党除名も考える、という強気のものです。

編集部: なぜ菅政権側は強気なのでしょうか?

横尾 : 2つの意味があります。
      菅政権自体が世論調査でも支持率20%余りで、もうノックダウン寸前。
      1つ目は、小沢さんを切り捨てることや切り捨て姿勢を見せることで、
      世論の支持を集めたい。
      2つ目は、1月からの国会で予算審議をめぐっての野党対策。
      これは公明党の取り込み対策です。そのための小沢ツブし、ですね。

編集部: 公明党対策ですか?

横尾 : 衆院は多数でも、参院はネジレで野党の議席が多く、公明党を抱き込みたいんですね。
      小沢さんを切れば公明党と連立や部分連立も可能だとみているんでしょうね。
      いずれにせよ浅はかで、愚かな考えです。

編集部: これから政局はそうなりますか?

横尾 : いずれにせよ来年4月は統一市長選挙、地方の首長や議会選挙が行われます。
      東京では東京都知事選、各区の区長や区議会議員選挙です。
      これで民主党は大敗北間違いなし。
      元気なのは地方組織がしっかりしている公明党です。
      地方選挙の今のトレンドをひと言でいえば、民主敗北で自民復調。
      そして、みんなの党系躍進、公明、共産は、現状以上が予測されます。
      民主党は苦境の一途をたどり、回復策はありません。

編集部: 内部抗争している場合じゃないと?

横尾 : そう、内部抗争に明け暮れるより、菅政権は「国民の生活が第一」の視点に立って、
      マニフェストで約束した政策を、できること、できないことを明確に国民に説明し、
      できないことはなぜできないのか、たとえば予算がない、官僚の抵抗が激しい、
      業界団体の圧力が厳しい、など明らかにすべきですね。
      そうじゃないと、今の日本はメチャメチャで首相も国会議員もなにもいらない、
      すべて官僚に任せておけばいいという諦めと政治への無関心が、
      今以上に広がります。

編集部: せっかく政権交代で国民が政治に関心を持ったのに残念ですね。

横尾 : 最近片づけられない人が、モノへの執着をやめ思い切って捨てる「断捨離」が流行語に
      なりましたが、菅政権もできない政策や相変わらずの官僚を断捨離してほしい。
      それができないのだったら、23年度の予算を通して来年4月に総辞職すべきですね。

編集部: 来年こそ、政権争いでは無い政治を行ってもらいたいものですね。
      本日もありがとうございました。

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  # by weekly-yokoo | 2010-12-15 10:12 | バックナンバー

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