週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.411

   第411回 【 芥川賞候補の盗作問題は? 】

編集部:「今週の気になる?」のコーナーは?

横尾 : 7月18日に、芥川賞の発表があります。
     このコーナーでもよく取り上げていますが、芥川賞というのは
     純文学の新人賞で1月と7月の2回発表があります。
     最近はメディアでも大きく報道され、芥川賞の概略や内容など
     一般にはよく知られていないまま、賞の名前だけがひとり歩きしていますね。

編集部: 中身はよくわからないのが実情だと思います。

横尾 : 今回は候補作品が5つです。
     ノミネートされたなかに「群像」という講談社が出している文芸誌に
     掲載された北条裕子「美しい顔」があります。
     この作品、群像新人賞を獲ったばかりで北条さんは無名の人です。

編集部: 作品の内容は?

横尾 : 3・11の大震災の直後の避難所での混乱、殺到するメディアの如何わしさ、
     ボランティアの善意の押し売りなどを、文学的に批判し、
     津波で亡くなった母親の死に顔を題名に比喩したもので、
     リアリズムで書かれた上手な作品です。

編集部: 文芸誌にでたときは評価が高かったのですか?

横尾 : はい、ボクも評価しましたが、作者は震災の現場に行かず、
     ボランティアもせずに、実際に体験していないことを書いた、
     その手腕がたいしたものだと思いました。

編集部: 実際に体験していないのに書くことはアリですか?

横尾 : 文学の場合はありです。
     ノンフィクションの場合は取材しないで書くことはありえません。
     フィクションではありですね。
     たとえば戦争を体験していないボクたちが太平洋戦争の小説を書く、
     これは当然あってよいわけです。
     江戸や戦国時代のことを書く時代小説も同様です。

編集部: そう言われてみればそうですね。

横尾 : だから先行文献を参照しながらフィクション(虚構)にするわけで、
     作品の最後に出典を書いておくのが礼儀です。

編集部: 今回は参考文献を書かなかった?

横尾 : 出版元の講談社はその事のミスは編集部の責任と認めています。
     しかし参考文献を挙げればそれでよいのか、盗用、コピペではないのか、
     というのがマネをされたと主張する新潮社などの言い分で、
     コトは大きくなっています。

編集部: 盗用された、との主張はどこがしているのですか?

横尾 : 石井光太『遺体』(新潮社)、金菱清『3・11慟哭の記録』(新曜社)などで
     いずれも版元が主張しています。

編集部: 横尾さんはどうお考えですか?

横尾 : ボクは現時点で、『美しい顔』と『遺体』『3・11慟哭の記録』を読み比べて、
    どこが盗用にあたるのか、あたらないのか、詳しく検証していないので、
    コメントはしません。
    ただ一般的には先ほどお話したように、小説家は体験しなくても書ける、
    参考文献や映像や体験者の話から、想像力で書くことができる。
    ゆえに本当に盗用だったら、作者は謝罪し、作品を抹消するべきです。

編集部: 横尾さんは3・11の際に東北に出かけましたよね。

横尾 : はい、防災士という民間資格を持っており、仲間と車で
     被災1か月後くらいに仙台、東松島、石巻に行きました。
     周囲の臭いや砂のざらつきなど、体験しないとわからない事が沢山あります。
     五感表現が視覚や聴覚だけで、この作者は体験していないことが
     わかりましたけどね。
     でもそれは先ほど話したように、虚構としての文学という意味では、
     よいかと思います。

編集部: 今後はどうなりますか?

横尾 : 講談社が全面的に反論して、作品をホームページで全文公開するということで、
     論争は大きくなるばかりです。
     講談社は盗作だったら会社の名誉に関わりますから。
     現時点でまだ落ち着き先は見えませんね。
     作者が盗用を認めれば別ですけど。


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  by weekly-yokoo | 2018-07-11 09:01 | 今週の気になる? | Comments(0)

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