第404回 【 「働き方改革」は残業代ゼロ? 】
第404回 【 「働き方改革」は残業代ゼロ? 】
編集部: 今週の話題をお願いします。
横尾 : 国会で「働き方改革」の法案が審議されています。
今の与野党の圧倒的な議席差でいえば、
6月20日会期末までの国会で法案通過となるでしょう。
編集部: 最近「~改革」と聞こえのよい言葉がありますが、「働き方改革」とは?
横尾 : 大きな柱は「裁量労働制」「高度プロフェッショナル制度」の2つです。
裁量労働制は厚生労省のデータがいい加減で、
野党から指摘をされ今回は削除しました。
後、高プロの方が法案として、その他の労働法制と一括で残っています。
編集部: 「高度プロフェッショナル制度」では?
横尾 : 「高度プロフェッショナル制度」とは年収約1075万円以上の
企画担当やアナリストなどの専門職において労働時間規制を取り払い、
残業代を払わない制度です。
編集部: つまり成果がすべてで、残業代はなし?
横尾 : はい、成果をあげるのは重要です。
でもこの法案は一応月100時間の残業の上限規制はありますが、
月100時間という目安は過労死のラインで、これを合法化する事になります。
たとえば月22日労働で9時間労働(休み時間拘束1時間含めて)、
残業は100時間を22日で割ると、1日あたり4・5時間くらいになります。
つまり午後6時を終業時間とすると午後10時半までは、
毎日働いても残業代がないことになります。
編集部: 体がきついし、年収も見合わないですね。
横尾 : はい、過労死ギリギリでしょう。
あと年収の1075万円規制は、関係ないと思っている人が多いのですが、
これは厚生労働省の省令などで改悪され、
国会審議しなくてもその時の政権の思惑で変えられます。
一回導入されれば、どんどん悪くなるのは当然です。
編集部: なんでこの法案がでてきたのでしょうか?
横尾 : 経済界の要請です。
人件費を安く抑えようとするのがミエミエです。
それでなくても日本の大企業は利益が上がって、
ためこんでいるお金である内部留保が、史上空前の約400兆円あります。
労働者に還元して非正規雇用をなくし、賃上げをして還元すべき所なんです。
これは株主至上主義、企業役員のサラリーマン化など原因はそれぞれですが、
政治主導でも解決できないのです。
安倍首相が財界に3%賃上げを要請しても、財界は無視しています。
すべての根源はアメリカ型の強欲資本主義にあります。
by weekly-yokoo | 2018-05-23 09:03 | バックナンバー