377回 【自殺サイト殺人事件の心の闇】
377回 【自殺サイト殺人事件の心の闇】
編集部: 今週の話題からお願いします。
横尾 : はい、先週猟奇的な事件が起きましたね。
神奈川県座間市での9人の遺体が見つかった事件です。
容疑者は27歳の男性、自殺サイトで繋がった女性を
次々と殺した、と報じられています。
編集部: いやな事件ですね。
横尾 : 犯罪心理学や社会学、文学など、そしてジャーナリズム以外にも、
さまざまな事件へのアプローチがあり、
これから論評も出てくるでしょう。
容疑者本人に問題があるのは当然ですが、
自殺サイトなど社会的な問題も背景にあるような気がします。
編集部:どういうことでしょうか?
横尾 : つまり高度資本主義、情報社会だからこそ、起きうる問題だと。
心の闇を抱えて自殺する人、引きこもりなど、
発展途上国では考えられないことです。
たとえばアフリカの内戦の国の、明日の食糧がないような地域で、
自殺や引きこもりなどはないと思います。
またシリアからの難民のキャンプではまず起きない事件でしょう。
戦前の日本や、いまの北朝鮮でも起こらないと思います。
編集部: 今日、明日を生きるのに精いっぱいですからね。
横尾 : そうです。
その意味で今度の事件は先進国病、
これも高度に発達した社会だからこそ起こる問題だと思います。
編集部: 似たような事件が過去にもありましたね。
横尾 :そうですね。
過去にもは宮崎勉の少女誘拐殺人事件や、
神戸の少年Aが子どもを殺す事件など、
先進国病とも思われる事件がありました。
宮崎勉の事件辺りからが、1980年代のバブル経済期の
先進国病のきっかけではないでしょうか。
編集部: ただこの社会を変えることはできないですよね。
横尾 : はい、自殺サイトのネットも禁止することはできないでしょう。
編集部: すると防ぐことはできない?
横尾 : ボクはそう思いますね。
社会病理は経済と関係します。
人間の生命を大事にする教育、想像力を養う教育が大切であり、
今こそ文学の出番だと思います。
by weekly-yokoo | 2017-11-08 09:55 | バックナンバー