週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.323

    第323回 【ボブ・ディランでした!ノーベル文学賞】

編集部:今週の「気になる?」ですが。

横尾 :先週、村上春樹のノーベル文学賞の予想をはずしてしまいました(笑い)。
    「可能性がかなり高い」と言いましたが、賭け屋の直前予想では2位に後退。
    結果は驚きのボブ・ディランでした。

編集部:ボブ・ディランは歌手で文学者ではないですよね?

横尾 :スウェーデンのアカデミーは、吟遊詩人として絶賛していましたけどね。
    ボクは少し疑問がありますね。

編集部:作詞家と詩人は違うと?

横尾 :はい、吟遊詩人といわれるとなんとなく納得させられますけど。
    でも歌詞が文学なら、ビートルズの曲なんか歌詞がスラングで革新的で
    それ以前の既成概念をぶち壊したと思うのですが。
    たとえば「イマジン」とか。

編集部:ノーベル賞はやはり社会参加型、メッセージ型の文学者が強いのですか?

横尾 :ボクはそう見ていますね。
    村上春樹はそのメッセージ性が弱い、と判断されているのではないでしょうか。
 
編集部:なるほど。

横尾 :昨年はウクライナの女性でノンフィクションのスヴェトラーナ・アレクシエー
    ヴィッチでした。
    彼女は第2次世界大戦の際に従軍した女性たちへのインタビューを
    記録にまとめたり、『チェルノブイリの祈り』という作品で、
    チェルノブイリ原発事故に遭った人々の記録を書いたり、
    ジャーナリスト的な活躍をした人でした。
    また一昨年は、フランスのパトリック・モディアノでした。
    彼は第2次大戦中のナチスドイツに占領されたフランスで、ユダヤ人の運命を
    描いたことで、注目されました。
    もちろん文学の質も高いですが。
    今回のノーベル賞は、賞の概念を拡大してみせた、ということかもしれません。

編集部:そういうことですね。

横尾 :日本では村上春樹より、水俣病で苦しむ患者たちを詩的に描いた
    石牟礼道子『苦海浄土』が、むしろ社会性と詩的な質で候補になるのでは、
    と最近言われています。

編集部:ノーベル賞をとれないことで村上春樹文学の評価が下がる、ということは
    ないのでしょうか?


横尾 :村上春樹はボクと同世代でもあり世代的共感があります。
    また彼の文学上の功績は大きいし、いまも日本文学のなかで独自の位置を
    占めて、一番だと思います。
    むしろ読んだことがなく、空騒ぎをしているテレビをはじめてとするメディア
    が、とれないイコール質が問題か?というような誤った理解で、世論を誘導
    することが心配です。
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  by weekly-yokoo | 2016-10-19 11:04 | 今週の気になる? | Comments(0)

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