週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.312

 第312回 【やはり芥川賞は村田沙耶香「コンビニ人間」だった】

編集部:「今週の気になる」のコーナーです。

横尾 :このコーナーの309回でずばり予想があたった、第155回芥川賞です(笑い)。

編集部:横尾さんは候補作5編のなかで2つを挙げ、村田沙耶香を本命にしていました。

横尾 :まあ順当なところですね。
    今月(8月)発売の月刊『文藝春秋』に選考委員の選評が載るので、
    参考にしてみてください。
    ただボクが気になるのは、新聞や雑誌のコラムなどでだいぶ取り上げられている
    ようですが、「コンビニ人間」という小説の本質は、コンビニ化(システム化)
    した社会の寓意もあるのですが、やはり文学として主人公の30代独身女性の
    心の在り方について、問うている作品です。
    つまりコンビニはあくまで小説の素材で、根本は人間の持つ不条理な心模様を
    描いているのです。

編集部:そこが文学というわけですね?

横尾 :そうです。
    だから読者は、ジャーナリズムの読解に引っ張られないように
    述べておきたいと思います。
    まあ詳しくは時事通信社を通して地方新聞各紙に、「コンビニ人間」の書評を
    書きましたので読んでみてください。
    そのうちボクのHP「赤羽B級グルメ物語」にも記事を載せますので(笑い)。

編集部:さて、「コンビニ人間」のストーリーは?

横尾 :主人公は36歳の未婚女性で、大学時代から始めたコンビニでのアルバイトを、
    同じ店で18年間続けています。周囲から「変わり者」と見られていても、
    コンビニはすべてがマニュアル化されていて、自分はその「部品」として世界
    に関わり続けていられる、と感じています。
    ある日同僚のアルバイト男性と、成り行きでルームシェアをすることになりま
    したが、自分の生き方は変わらず、コンビニこそ自分の居場所だ、と認識する
    話です。

編集部:おもしろそうですね。村田沙耶香とはどのような作家なのでしょうか?

横尾 :デビューは早く、2003年24歳のときに「授乳」で群像新人賞デビュー。
    その後、野間新人文芸賞や三島由紀夫賞を受賞して順当に作家活動を続けて
    きました。
    芥川賞は新人賞ですが、もっと早く受賞するべき作家でした。
    「あちら側」と「こちら側」という言葉を使い、日常と非日常、正気と狂気の
    あいまいな境を描くのが得意のような気がします。
    また人と関わるのが不器用な少女や女性を描くのも上手ですね。

 
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  by weekly-yokoo | 2016-08-03 10:33 | 今週の気になる? | Comments(0)

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