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週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.204

       第204回 【岩井俊二監督「なぞの転校生」のリリシズム】

編集部: さて今週の気になるです。

横尾 : 先週の話題は、SF作家の父と呼ばれるH.G.ウェルズの再評価でした。
      岩井俊二監督が強く推している作家です。
      日本国の平和憲法の礎となった人。
      眉村卓『なぞの転校生』(新装版)の「あとがき」で岩井監督が触れていました。

編集部: そうでしたね。
       先々週はその岩井監督の企画・プロデュース、脚本の「なぞの転校生」の
       テレビドラマの話題でした。


横尾 : ブルーレイ、DVDが先月発売されたことを紹介しました。
      今回は岩井監督論を少し述べてみたいと思います。

編集部: 岩井監督といえば、やはり独特のロマンチシズムがありますね。

横尾 : そう、リリシズムですね。
      それは初期の「スワロウテイル」から感じますね。

編集部: 今回のテレビドラマでも?

横尾 : はい、映像と音楽の調和ですね。
      原作を超えてまったく新しい作品になっています。

編集部: それはぜひ観てみたい作品です。

横尾 : 現代の荒廃した世界に、希望が果たしてあるのか、あるとするなら、
      それはどのような形なのかを考えさせられました。

編集部: 岩井監督の特徴は?

横尾 : 思春期、高校生くらいの若い人たちの揺れ動く心理の映像表現がとても上手です。
      「リリィ・シュシュのすべて」もそうでしたが。
      花、しゃぼん玉、ピアノなどの小道具が心理表現の比喩として存在しています。
      音楽も、ピアノが好きな監督だけあって、劇中歌「風が吹いてる」は自ら作詞、
      作曲したそうです。
      ドラマを背景に聴くと、とてもすばらしい曲です。
      あとカメラーワークも、今回の監督は長澤雅彦ですが、岩井監督のイメージを
      よくとらえています。

編集部: お話を聞いていると、テレビドラマというより良質の映画という気がします。

横尾 : 異次元、パラレルワールドなど、ジュブナイルSFというフレームですが、
      優れたドラマとして現代の課題を表現しています。
      ネタバレになるのでストーリーの細部、構成は言いませんが、DVDで6時間以上
      ありますが、見飽きないと思います。

ドラマ公式HP http://www.tv-tokyo.co.jp/nazono_tenkosei/dvd/
劇中歌「風が吹いてる」 http://www.youtube.com/watch?v=grRgfRaWHpw

  by weekly-yokoo | 2014-06-11 10:30 | 今週の気になる?

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