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週刊!横尾和博
月刊!横尾和博

第75回  【TPPに含まれる「ISD条項」ってナニ?】

        第75回  【TPPに含まれる「ISD条項」ってナニ?】

編集部: 今週の話題は?

横尾 : 野田さんが強引に推し進めるTPP。
      野田さんは「TPP事前協議に参加する」のであって
      「TPPに参加するかどうかではない」と苦しい国内向け弁明を繰り返しています。
      協議に参加して本チャンに参加しない、なんてことはあり得ないし、
      例外品目をもうけて条件闘争する、というのもウソです。
      もし、進めようとしていた国際条約に参加しなかったり、途中でやめたりしたら、
      日本が国際連盟を脱退した昭和8年(1933年)以来の出来事となり
      国際的な大問題となります。
      アメリカが好きな現政権や財界、官僚がそんなだいそれたことをするわけがありません。

編集部: そうなんですか?

横尾 : 重要なのは、TPPには「ISD条項」というのがあることです。
      これを批准した場合、日本が規制している品目や制度、法律があった時、
      外国の投資家や企業が日本政府を訴えることができるんです。
      「日本は○○を規制していて参入できないからけしからん!」と。

編集部: そうなんですか!

横尾 : 訴える先は「世界銀行」の傘下の「国際投資紛争解決センター」です。
      ここはアメリカの言いなり機関といわれています。
      しかも裁判のシステムがいい加減。
      「解決センター」は、投資家の被害がどれだけかの観点でしか審理せず、
      非公開、前例の判決は参照しない。
      裁判結果に不服でも上訴できない、法解釈の明らかな間違いでも
      当事国は正すことができない、というまさに治外法権的な条項なんです。

編集部 :今度のTPPにもそれが入っていると?

横尾 : そうです。先日、韓国とアメリカがFTA(2国間の自由貿易協定)を結びましたが、
      このISD条項があり、先週の韓国議会は批准に向けて大荒れで、
      議員が座り込んだり暴力沙汰になり、最後は強行採決で批准しました。
      韓国もこれからが大変ですね。

編集部: 日本の国会もこれからでしょうね。

横尾 : そうですね。
      ところがTPPを進める野田さんは、国会で野党に追及されるまでISD条項の事を
      知らなかったんです!それも大問題になって。

編集部: えっ!それは大きな問題ですね。

横尾 : 「投資家対国家」という重大な問題です。
      その国の主権が、外国の一投資家や企業に訴えられ負けると
      巨額な賠償を払うことになる。
      現にカナダやメキシコがアメリカの企業に負けて巨額な賠償を支払いました。
      投資家に負けて国が法律や制度を変えなくてはならない。
      まさに主権侵害の大問題です。
      もともと資本主義、特に金融資本主義にとっては
      「国家や国境が存在しない」といわれていますが、
      その本領発揮というわけです。

編集部: お金には国境や国家がない時代なんですね。

横尾 : そうです。
      ヨーロッパの金融危機の本質もそうです。
      TPPの本質をナニも伝えないテレビ、新聞など大メディアは
      売国的犯罪集団、といっても過言ではありません。
      原発問題と根は同じですね。
      だからこそ貿易自由化という美名のもとで、
      世界をアメリカン・スタンダードにしようとするアメリカの野望を
      食い止めなければならないんです。

  by weekly-yokoo | 2011-11-30 10:56 | バックナンバー

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