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第46回  【浜岡原発を止めたのは英断、だが期間限定じゃあ困る】

第46回  【浜岡原発を止めたのは英断、だが期間限定じゃあ困る】

編集部: 今月の6日、菅首相が突如記者会見で、静岡県にある中部電力の浜岡原発を
       全面停止することを発表し、国民を驚かせました。


横尾 : 停止は歓迎ですが、ただし防潮堤を作る期間のみ、約2年間という限定です。
      まあ、それでも止めないよりはいいですけど、全面廃炉にするべきですね。

編集部: なぜ浜岡原発を止めたのでしょうか?

横尾 : 全国には問題になっている福島第1原発の6基を含めて54基の原発があります。
      浜岡原発は静岡県御前崎市にある中部電力の原発です。
      浜岡原発の問題点は、
      ①運転開始から30年の老朽原発であること
      ②東海地震の震源域であり、原発の真下に活断層があること
      ③しかも今後30年以内の地震発生確率は87%と切迫していること
      以上の3点です。
   
編集部: それでも、なぜこの時期なのでしょうか。

横尾 : 4月下旬から官邸内では密かにこの計画が練られていたようです。
      震災や原発対応で落ち目の菅首相の人気回復策という説。
      もしくはすべての原発を廃止しないよう、とりあえずスケープゴートを浜岡にして
      他の原発を守った、という説。
      または、東海地震が切迫している情報でもあるのでは?という説など、
      現段階では憶測が、色々と飛んでいます。

編集部: まず老朽原発の件ですが、これは浜岡だけなんですか?

横尾 : いや、老朽化している原発は、今回の福島第1原発の6基もそうですが、
      他にも全国に13基あります。

編集部: そうすると、地震の切迫性については?

横尾 : これはまったく科学的な知見や情報がないのでわかりません。
      ただ今回の宮城沖の大地震は文部科学省の地震調査研究推進本部の調査で、
      30年以内の発生確率が99%でした。にもかかわらず、すぐには起きないだろうと
      タカをくくっていたし、目先の生活の糧が大事ですから地震対策もおざなりでした。
      津波対策も同じです。30年以内87%ということは必ず起きるということであり、
      地震学者が心配する3連動(東海、東南海、南海)になると規模がもっと大きくなります。
      菅首相の言う「切迫」は正しい認識です。
      地震調査研究推進本部がまとめた資料がネットにありますので、見て下さい。
      報告書の一番最後のページに、東海地震の確率が掲載されています。

      地震調査研究推進本部報告書
      http://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/ichiran_past/ichiran20100112.pdf
  
編集部: この資料読むと、確率論的な世界ですね。

横尾 : そうですね。これを見てしまうと、いま止めたほうがよいのに決まっています。

編集部: 人気回復作戦というのは?

横尾 : この件でメディア各社の世論調査の結果、支持率は回復するでしょう。
      しかし6月に出す「社会保障と税の一体改革」、いわゆる消費税率引き上げで、
      また人気は下がるでしょう。シーソーのようなものです。
      党派や政治家個人も含めて、原発政策を政治の利害場面に利用してはいけません。
      いまこの時代は長年の原子力政策を国が大きく転換し、
      新エネルギーに切り替える時期なんです。
      そこで、来週は原発批判ばかりではなく、新エネルギーへの代替案についても
      具体例を紹介しながら述べてみます。

編集部: よろしくお願いします。

  by weekly-yokoo | 2011-05-11 10:30 | バックナンバー

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