第349回 【共謀罪が成立するとどうなる?】
第349回 【共謀罪が成立するとどうなる?】
編集部:GW前でよい季節を迎えましたが、今週の話題からお願いします。
横尾 :はい、いま国会では「共謀罪」が審議されています。
これは以前にも取り上げましたが、日本の法体系を根本から覆す法案です。
編集部:どのようなことなのでしょうか?
横尾 :今の刑法は、実行行為を処罰するものです。
イヤな人を傷つけたり、脅したりと、それを心のなかで考えただけでは罰せられ
ません。
しかし、2人以上で共謀して人を傷つけようと画策しただけで罰せられることに
なります。
編集部:つまり、実際にやらなくても、2人以上で話し合ったり、相談したりすることで
罪が問われる?
横尾 :はい、そうです。
怖いのは、その共謀かどうかの認定は警察など当局が行うことです。
またその法律があることを理由に取り締まる側が任意捜査を行い、結果罰せられ
なくても、国民を萎縮させる効果があります。
編集部:つまり盗聴、密告などの管理社会がますます進む、ということですね。
横尾 :そうですね。
独裁者が支配する、ジョージ・オーウェルのSF小説『1984年』の社会にな
ります。
また昔のソ連や北朝鮮のような社会になります。
編集部:オリンピックのためにテロ対策で必要だと言われていますが?
横尾 :いまの法律で十分取り締まれます。
また国際条約は人身売買やマネーロンダリングのために、締結が必要とされて
いるもので、共謀罪とは関係ありません。
編集部:なぜいま「共謀罪」なのでしょう?
横尾 :過去3回、国会で潰れています。
いま戦争などきな臭い時代になってきましたが、それを理由に国家が国民を監視
する社会が必要になっているのでしょう。
マイナンバーや秘密保護法、盗聴法など一連の動きと無縁ではなく、国家がより
権力を強大化させ、内部へ閉じようとする動きです。
編集部:どうすればよいですか?
横尾 :抽象的には権力や国家を開かせるような、そんな運動が起きないとダメですね。
首相官邸や霞が関の官僚に権力を一極集中させないような、そんなイメージが
大事です。
※お知らせ 東京新聞掲載、村上春樹『騎士団長殺し』書評(筆者 横尾和博)
by weekly-yokoo | 2017-04-26 10:38 | バックナンバー