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週刊!横尾和博
月刊!横尾和博

第334回 【希望がない時代に】

          第334回 【希望がない時代に】
 
編集部:新年明けましておめでとうございます。

横尾 :おめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。

編集部:新年最初の話題はどのようなことでしょうか?

横尾 :暗いニュースが多いなかで、明るいニュースを探しましたが何もありません。
    なぜこんなに暗い世の中なのか、正月休みに考えてみました。

編集部:はい、新年から暗いですね(笑い)。

横尾 :そうですね(笑い)。
    そこで考えたのは、やはり日本には「希望」がないんですね。
    村上龍の『希望の国のエクソダス』という小説が以前出ましたが、
    そこで「この国には何でもある。だが希望だけがない」、という言葉が語られて
    いました。

編集部:衝撃的な言葉ですね。

横尾 :はい、村上龍の小説は、時代の節目で状況を的確にとらえるセンスの良さが
    光っていますが、2000年に刊行されたこの小説もそうです。

編集部:やはり1990年代のバブル経済崩壊以降、日本には希望がなくなったので
    しょうか?

横尾 :そうですね。
    日本的経済のよさは、経済は右肩上がりでよくなる、雇用は正規社員で
    終身雇用、企業は一家主義で社員や家族を守る、という社会的な合意が
    ありました。
    いまはアメリカ流の新自由主義経済で弱肉強食、一部の富裕層と多数の貧困層
    で、かつての中流といっていた人たちはどんどん落層化しています。
    つまり努力をすれば、たとえローンでも家を持て、安心した老後が送れる、
    というビジョンが崩壊したのですね。

編集部:結局、一部の富裕層にとって希望はあるけれど、大多数の貧困層や一部の中流層
    には希望がないということですね?


横尾 :はい、そのとおりです。
    貧困は連鎖を繰り返します。
    貧困層の子どもが高い教育を受けて、貧困を脱出することはムリです。
    社会に閉塞感が漂い、なんでもよいからスカッとすることや、また威張っている
    インテリ層をやっつけたいという潜在願望がトランプ現象を生み出します。

編集部:自分の気持ちを代弁してくれる政治家、と思うのですね。

横尾 :ゆえに庶民はトランプ氏のような大衆迎合型の政治家を誕生させますが、
    結局自分で自分の首を絞めることになります。
    なぜなら彼は富裕層の代弁者ですから。

編集部:すると希望がない時代、どうしますか?

横尾 :希望がない、ということをまず自覚することから始めないとダメですね。
    そして何度もこのコーナーで話していますが、時代の先行きを読んで、
    自己防衛しかないと思います。
    そしてどんなことでもよいから、自分で希望を見つけ出していくことだと
    思います。
    新年から暗い話になってしまいました、スミマセン。


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  by weekly-yokoo | 2017-01-11 11:27 | バックナンバー

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