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週刊!横尾和博
月刊!横尾和博

編集後記 Vol.170

「今週の気になる?」でも取り上げられた同人誌ですが、昨今は漫画・アニメブームの拡大で、夏冬東京ビッグサイトで行われるマンモスイベント「コミックマーケット」のイメージが強いですね。若い人にとっては、同人誌=オタク文化といった感覚でしょう。そもそも日本における同人誌文化の発祥は、明治時代の文学活動です。小説家尾崎紅葉の「我楽多文庫」、正岡子規、夏目漱石、高浜虚子らの「ホトトギス」や歌人集団アララギ派による「アララギ」などといった同人誌がありました。学校の歴史の時間に勉強した記憶がある人も多いと思います。同人とは、「好きなものが同じ」人の集まりを指す言葉ですので、それが時代とともに小説から漫画やアニメに変わっても自然な文化の発展なんですね。現代では、コミックマーケットの同人誌ばかりが目立ち、文芸系は「今週の気になる?」のとおり静かなブームといったところでしょうか。とはいえ、人の数だけ趣味が生まれ、人の数だけ好みがあるように、文芸とまではいかなくともニッチな情報誌的な同人活動も盛んなようです。先日もテレビ番組「タモリ倶楽部」で紹介されていましたが、それこそ「芋けんぴ」だけの情報を特集した同人誌「この芋けんぴがすごい2012」や、タルタルソースで「このタルタルソースがすごい!」、納豆で「まぜたりのせたり」、醤油で「醤油手帳」と、食べ物だけでも結構盛んに出版されているようです。雑誌としての出来栄えも、学生手作り風からプロの出版社顔負けのものまで様々で、そこらへんも楽しめそうです。いずれにしても、採算となるとどの同人誌も良くてトントン、ほとんどが赤字のようですが、まぁそこが同人、好きだからこそ作れているわけですね。究極の自己満足とも言えるかもしれません。ただ、そもそも人生そのものが自己満足なものだとしたら、自分だけの同人の世界を持っているということは、その人の人生は幸せということですね。

  by weekly-yokoo | 2013-10-09 10:34 | 編集後記

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