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週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.163

               第163回 【「風立ちぬ」は名作だ!】

編集部: さて今週の気になるですが?

横尾 : 宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」が話題です。
      批判する人たちは、主人公のセリフが棒読み、冗長、
      戦争という時代への斬り込みが浅いなど言っています。

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編集部: 実際はどうなのでしょう?

横尾 : 一言でいえば名作です。
      零戦の開発者、堀越二郎という実在の人物をもとにした話で、
      リアリズムといいながらも十分ファンタジーです。
      同時代の作家、堀辰雄の『風立ちぬ』もつなげて、
      主人公とヒロインの恋愛話や、その舞台設定に小説が使われています。

編集部: 映像がきれいだとの評もありますね。

横尾 : 空の青と緑がきれいです。
      大正期から昭和20年夏の敗戦までを描いて、ノスタルジーの世界です。
      逆にいえば、美しい世界のみを、あえて描いたということになるでしょう。

編集部: 逆にきれいな分、戦争の悲惨を伝えていない、との批判もあるようです。

横尾 : ラストのほうで二郎が「零戦」の残骸の前に立ち尽くすシーンがあります。
      また堀越二郎自身は戦争に肯定的ではなかったようです。
      堀辰雄は文学者がみな「日本文学報国会」に参集し、戦争ものを書いて
      軍部に協力するなかで、戦争とは離れた位置に立っていました。

編集部: 宮崎監督の「平和憲法を守る発言」なども話題になりました。

横尾 : 零戦の設計者を主人公にしたことで、戦争肯定、と捉えられることが
      監督はイヤだったんですね。
      でもそんな発言をしなくても、戦争肯定や反戦映画でないことはたしかです。
      作品は読書と同様、観客自体が判断するものです。
      お客の判断に委ねてほしかったです。
      「憲法や平和」は、この映画と切り離したところで発言してほしかったですね。
      映画のよさを「場外乱闘」の騒ぎに巻き込まないほうがよいとボクは考えます。

編集部: 宮崎監督にひと言ありますか?

横尾 : 宮崎駿監督はボクの小学校、中学校の先輩です。
      今回の映画は宮崎先輩の代表作になると思うし、
      今後も実話をもとにした映画を作ってほしいです。
      特に今回のように、学校で教えていない大正から昭和前期にかけての時代ですね。

  by weekly-yokoo | 2013-08-21 11:10 | 今週の気になる?

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