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今週の気になる? Vol.159

      第159回 【東京新聞夕刊コラム「大波小波」のおもしろさ】

編集部: さて今週の気になるですが?

横尾 : 先週17日(水)に芥川賞発表がありました。
      候補5作のうち、いとうせいこう「想像ラジオ」と藤野可織「爪と目」が
      下馬評高く、結局、藤野可織が受賞となりました。

編集部: 若い女性でしたね。

横尾 : 30代の京都出身の女性です。
      芥川賞は「純文学分野の新人賞」、との位置づけです。
      藤野可織、自体の是非はともかく、いとうせいこうの「想像ラジオ」が
      なぜ落選したかを想像するのが興味深いですね。

編集部: いとうさんはクリエイターとして活躍しているから新人ではないと?

横尾 : 純粋に作品の中身ではなく、作者の経歴や活動実績なども考慮の範囲なのか、
      そのあたりの評価軸がはっきりしません。
      情実や選考委員9人の作家たちの好き嫌いもかなりあるのでしょう。

編集部: 主観的な要素もあるんですね。
      横尾さんは小説作品の中身で評価しろ、と?


横尾 : そう考えます。
      その意味で、東京新聞夕刊には毎日「大波小波」という名物文芸コラムがあります。
      そこでの匿名批評がおもしろい。
      このコラムは1933(昭和8)年から始まって、今年でなんと80年。
      東京新聞の前身「都新聞」当時からあったものです。
      芥川賞が1935(昭和10)年にできたのですから、その歴史がわかります。

編集部: 歴史のあるコラムなんですね。

横尾 : 匿名、文芸、毎日掲載というおもしろさに、ハマる人が多いようです。
      書き手は原則本名を明らかにしないのですが、
      萩原朔太郎、坂口安吾、大岡昇平など、
      著名作家や評論家が筆を執っていたそうです。

編集部: 匿名批評で馴れ合いを避け、ホンネを言うんですね。

横尾 : 文学ギョーカイは、ホンネでなかなかものが言えない世界です。
      まあ、どこの世界でも同じですが(笑い)。
      今回も芥川賞発表後の19日(金)夕刊、
      20日(土)夕刊も「想像ラジオ」ネタでおもしろかったですね。

  by weekly-yokoo | 2013-07-24 10:49 | 今週の気になる?

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