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週刊!横尾和博
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今週の気になる? Vol.54

   第54回
   【和合亮一「詩の礫」、語彙と言葉の豊饒が3・11以降に問われる】

編集部: 今週に気になるは何でしょうか?
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横尾 : 福島在住の詩人、和合亮一さんの「詩の礫」という詩集が
      出版されました。
      3・11東日本大震災で被災し、以降ツイッターで呟いた
      文字どおり言葉の礫(つぶて)です。
      読んでいて身につまされます。

編集部: 詩人が脚光を浴びるケースはめずらしいですね。

横尾 : そうですね。
      和合さんは1968年福島県生まれ、中原中也賞も受賞
      した詩人です。
      被災後の3月16日から5月25日までツイッターに書き綴った魂の叫びの
      ような言葉です。

    ~ツイッターに書かれた言葉の一部~
       行き着くところは涙しかありません。
       私は作品を修羅のように書きたいと思います。
       放射能が降っています。静かな夜です。
       ここまで私たちを痛めつける意味はあるのでしょうか。


編集部: すばらしい詩ですね。

横尾 : 3・11は長い歴史の眼で見ると明らかに屈折点です。
      なぜなら半永久的に放射能と付き合っていかなければならない日々に
      なったからです。その歴史の転換点に立って言葉を礫のように投げつける
      詩人がいたことは記憶しておかなければなりません。
      この詩集は、以前紹介した川上弘美の掌篇小説「神様2011」と同様、
      豊饒な言葉と語彙を駆使して「いま」を語る、すぐれた作品です。

  by weekly-yokoo | 2011-07-06 10:43 | 今週の気になる?

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